名前だけは知っていても
「国債増発」、「ついに税収を上回り...」などが昨今の新聞紙上にもよく出ています。
数年前からは「国民一人当たり●百万円の借金」と言われながらも増え続ける国債残高。
しかしその裏でどのように新規国債が消化されていたのか全く知りませんでした。
そういう意味では小説とはいえ国債の裏舞台を垣間見たように思います。
新規国債の未達。
そこから派生する他の市場への影響。
そして時間とともに欧州から米国を回っていくうちに何がおこるか。
それはリーマンショックを経験した今だからこそ現実味を帯びてきます。
筆者の「文庫化にあたって」の中にも書かれているように、実際に国債の未達は2002年に起こったようです。
しかしその頃にはまだシ団が存在したため無理矢理に引受させることが出来たのだと思います。
しかしそれも2006年に廃止されていると聞く。
その後出来たプライマリーディーラー制度の中でも金融機関には一定額の国債の入札・落札義務があるらしい。
旧態依然なのか?だとしたら?
テーマはおもしろい
テーマはおもしろいと思います。
未達はあり得ないという意見もありますが、2002年に一度あったようですし、今後発行残高のさらなる増加とともに消化が難しくなれば、需給の関係で未達となる可能性はあるのではないかと思います。
株をトレードしている程度で金融のプロではなく素人意見ですが、金融機関がリスクの高い民間への貸し出すぐらいなら、まだ信用力のある国債を買うというあくまで消去法的な運用先となっている(と勝手に想像している)結果、日本の国債は暴落を免れているのではないかと思います。
そして、広く多くの企業に供給される資金が国債にむかい、一部の企業がそれを吸い込むという図式(があると勝手に想像している)が日本経済の回復を阻んでいる一因なのではないかと勝手に想像したりしています。
あぁ、小説のレビューでしたね。
金融のプロではないのでリアリティなどはわかりません。
小説なのであまり細かいことを気にする必要はないと思います。
またまだ上巻しか読んでいないのですが、それなりにおもしろいとは思います。
ただ、どうもページ数を稼ごうとしているのか無駄な描写がおおくわかりにくくなっている場面があるのですこし読みにくいと感じました。
暇なときに軽く読むのにはいいのではないかと思います。
上下巻で 1200円ですか。
買ってまでよむのはお金持ちのすることだと思いました。
次世代への責任
投資目的ではなく、純粋に、日本国債とは何か?。
それが知りたくて購読。
「国の借金」程度の知識しか持っていなかったが、日本国債を発行する側・買う側、その背後にある金融業界等が広くわかる。
物語の中で、さりげなく、その辺りのことが説明され、理解しやすい。
日本国債とは国の借金。
過去の借金が現在へ,その返済にまた、現在の借金を将来へ。
それが平然と繰り返される現実。
それを一人の母親の目線で見ていくうちに疑問が生じる。
借金をすることで人々は国の財政について、同じ時代の人達と同時に、過去・将来の人々とも責任を分かち合うことになる。
母親は子供,つまり次世代の人々と最も多くの時間を接し、次世代のことを気にかける存在。
その目線から日本国債を見ることで、ことの深刻さが見えてくる。
日本国債(上) (講談社文庫)幸田 真音